サウンド360

サウンド360

20世紀フォックスでは、今秋9月上旬に日本で初めてワールド・プレミア公開するSFアドベンチャー「世界が燃えつきる日」の中で観客が映画を観賞中に未来的な立体感を味わえるように、革新的な音響システムを開発した。
その音響システムは、「サウンド360」と呼ばれる。過去数年にわたってフォックスと競合関係にある会社の作品は改良された音に対する以前にも増した一般大衆の要求に応えるための試みをつづけてきたが、その多くは大衆を完全に満足させるには至らない、不完全なものばかりだった。「サウンド360」はその名の示す通り、内容的には全観客を従来よりずうっと広い、だが理論的には古いステレオ音響方式に近い音響体験の中に包んでしまう。
現在劇場に設置されている4本乃至は6本トラックの磁気録音音響装置の大半は、備えているチャンネルの全部を最大限に活用していない。その場合のステレオ効果は、劇場の前面に於て極く限られた“サラウンド”(取り囲む) チャンネルから発する音を増音して生産される。 それに対し「サウンド360」は、劇場の前部、両側、後部に分離された音源を提供するために、有効チャンネルの全部を使用している。その結果、音は狙ったどの角度からでも挿入されている。この方式は映写技師に、それが効果音、音楽乃至は台詞、乃至はそのいずれの組み合わせであろうと、どんなタイプの音でも、劇場内のどの箇所からでも出すことを可能にする。たとえば、大洋の波は観客の上を波打ちながら通過することが可能だし、また旋風を観客の廻りをくるくると廻らせることもできるし、また飛行機を観客の頭上を旋回させることも可能だ。その効果は事実上無限だし、両側部及び後部に高性能スピーカーを追加設置 ―そのスピーカーの1つ1つが独立した音源になる― することによって簡単に取付けられる。
観客の限られた少数者だけではなくて全員が「サウンド360」の効果を体験できる。この効果は、隔離された音響的催し乃至は出来事の間だけではなくて、事実上永続的に発生させることが可能だ。また、完璧な音のスペクトルを通して高性能なオーディオの再生が可能な故に、あらゆるタイプの効果、音楽、台詞等の創造が可能だし、その再生装置は将来のいかなる映画にも適用できる。「サウンド360」は、より洗練された劇映画を求める声と劇場主の経済的事情を考慮の上で考え出された原理である。このような理由で、追加のスピーカーとその設備費のための小額の投資は現在の観客に歓迎され「世界が燃えつきる日」の視覚的体験を高める、完全に包囲するサウンドを実現してくれる。

1977年公開『世界が燃えつきる日』パンフレット説明より
 

よーく読まないと意味がわかりません。(読んでもわかりません)
当時としては画期的なチャンネル配置だったのでしょうね。劇場内がビリビリ震動するような、まさに劇場でしか体験できない音場でした。

今現在のデジタル化された映画サウンドのチャンネル配置は、左、センター、右、サラウンド左、サラウンドバック、サラウンド右といったような、まさに360度配列。さらに今後は天井にも配置されて、前後左右上下の音の移動が可能になるようです。

 
エイガのチラシ